2.日和見感染
    健康人に対しては、病気を起こすことのないような微生物が、体力・免疫力の低下した人(易感染宿主)に、感染し病気を起
    こす場合を、日和見感染(Opportunistic Infectionと呼んでいる。病院に入院している患者はいろいろな基礎疾患があり、
    免疫能を低下させるような治療を受けている場合が多く、院内感染として、日和見感染が問題となる。

     次のような状態の人は日和見感染を起こしやすい。
        @ 免疫不全状態(抗癌剤、免疫抑制剤の投与を受けている)
       A 白血病・悪性リンパ腫などの血液疾患
        B 大量の抗生剤の長期投与
       C 心臓外科術後、腹部大手術術後、重症の熱傷
        D 気管内挿管による呼吸管理
        E IVH等、常時カテーテルを挿入されている
       F 肝硬変症・肝不全 
        G コントロールされていない糖尿病
       H 高齢者、寝たきり状態
       I 未熟児、新生児、幼児

     日和見感染を予防するには、上記患者を重点的に考える必要がある。
     日和見感染の代表的疾患について、考察する。
  A.緑膿菌感染
   (1)緑膿菌とは
       緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は自然界に広く分布しており、人の腸管をはじめ、洗面所やキッチンなどの「水まわり」
        に生息している。ピオシアニンという緑色の色素を持っているためこの名がある。本来、人に対する病原性は弱いが、日和見
        感染の代表的菌種であり、また菌交代現象の主役を担うものである。体力の落ちた人や老人は、感染の危険性がある。特に化
        膿性疾患には、混合感染・二次感染を起こし、病状を悪化させることがある。緑色の膿汁・滲出液は、緑膿菌の存在を意味す
        ることがある。
     最近は、抗生剤多剤耐性緑膿菌感染が問題になっている。 
 
  (2)感染経路
     接触感染が主体である。保菌者や感染した患者から、介護者の手指・医療器具・日用品等色々なルートで伝播が起こる。
        病室の花瓶の水や洗面台などの「水まわり」が感染源になることがある。特に褥瘡や創傷のガーゼは注意しなければならない。

 (3)感染の発症
      難治性の化膿巣(膿瘍)、尿路感染症、胃腸炎、肺炎、敗血症等を引き起こす。

 (4)感染予防対策(標準予防策、接触感染予防策)
      @ 保菌者と感染者は区別する必要があるが、予防対策としては同じ様に扱う。   
          A 原則として隔離はしなくてよい。重症感染者に対しては、速やかに転院を考える。 
       B 手洗いの励行。
       C 使用する機材・物品は適切な消毒をおこなう。
       D 褥瘡等、緑膿菌感染の疑いのある創傷(緑色で特有の臭いのある滲出液を伴う)の処置、およびオムツ交換等は、ガウ
       ンを着用し、ディスポの手袋を使用する。使用後は直ちに捨てる。
       E 入浴については、順番を最後とする。浴槽は洗剤と消毒液を用いて洗浄する。    
          F 寝具・寝衣・リネン等は通常の洗濯、乾燥で良い。乾燥機を使用すればより良い。
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